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ハンドピックについて


ハンドピックとは?

ハンドピック風景 品質の良い珈琲豆を作るために避けられない作業がハンドピックです。コーヒーの生豆も農産物である以上どんな高級な銘柄でも品質は決して一定ではなく、良い豆も悪い豆も玉石混合しています。

この悪い豆(欠点豆やくず豆といいます。)はコーヒーの味に直接悪い影響を及ぼします。特に黒豆と呼ばれる腐敗して黒く醗酵した豆はたった一粒でも一杯のコーヒーをだめにしてしまいます。
また、くず豆の比率が多いと焙煎の最中に味を悪くする成分が釜の中に回り、焙煎した豆全部の味を損なうこともあります。

良い味より悪い味の方が感じやすいのは生物の仕組みとして当たり前のことです。仮に一杯のコーヒーに含まれている良い味が100で悪い味が20だとすると、足し引きで良い味が80ではなく、良い味80と悪い味20という感じになります。
ですから、極力このくず豆を取り除くことが重要になるわけで、この作業をハンドピックと呼んでいます。

実際には普通に流通しているアラビカ種をハンドピック無しで焙煎してもくず豆の影響はわずかといったところで、少々の雑味を感じるくらいです。

くず豆と品質の高い生豆

コーヒー豆は年毎、季節毎による品質の変動が大きい作物です。仕入れるロットにより良い生豆かどうかは見た目だけで判断はできず最終的には焙煎して確かめるしかありません。私が言う『品質の高い生豆』とはくず豆(欠点豆)の混入率が低いものではなく、焙煎してよい味が出るもの、つまりくず豆を除いた生豆が良質であるものの事です。

くず豆の混入率が低いものはハンドピックの有無で味の差は殆どありません。ですが、出来上がったコーヒーが美味しいかどうかとは別の問題です。一つ一つの豆に含まれる良い成分がそこそこなら、そこそこの味にしかなりません。
一方、くず豆を除いた豆それぞれが良質のものであれば雑味もでますが美味しい成分も多く含まれることになります。

一般にはくず豆の混入が少なく見た目が良いものは品質も高いことが多いです。概ね機械化の進んだ大規模農場や管理の行き届いた比較的小規模の農場で栽培された豆がこれにあたります。中国やベトナムなどコーヒー栽培の経験が浅い地域ではくず豆の混入が多いのですが、自然環境のなせる技か生豆そのものの品質は高いことがあります。このような豆はハンドピックの手間をかけても焙煎する価値があると思います。

くず豆の種類

くず豆(欠点豆)と呼ばれるものは何種類かありますので、その主なものを挙げてみます。

黒豆

腐敗醗酵して黒ずんだ豆で明らかな異味、異臭がします。

カビ豆

文字通りカビの生えた豆です。

虫食い豆

蛾の幼虫が虫食った豆で、内部にカビが生えていることがあります。

ベルジ(シイナ)

表面にしわの入った緑色の未熟な豆で、見た目と裏腹にかなり強い異味がします。

死に豆

白っぽく熟しきっていない豆で、良い味もしなければ悪い味も殆どしません。焙煎しても色がつきにくく、焼きむらができます。

シェル(貝殻豆)

文字通り貝殻のような形をした奇形の豆で、これ自体は問題ないのですが、体積が少ないため焦げやすく、キツイ苦味の元になります。

われ豆

精製や運搬の際に割れた豆で、シェルと同じようにこれ自体は問題がないのですが、こげ味が出やすいので取り除くに越したことはありません。

この他にも石や枝葉、とうもろこしのタネ、昆虫の死骸なども欠点豆になります。

くず豆を取り除く

さて、実際にくず豆を取り除く際に重要となるのが良い豆とくず豆のボーダーラインです。
黒豆やカビ豆などの明らかに悪い豆は簡単に取り除けるとして、シェルや、死に豆までは至らない未熟な豆、形が悪いだけの豆などはかなり微妙なところがあります。
本来ならば「疑わしきは罰せよ!」のスタイルで行うべきですが、正直やり始めると限がありませんしコストも跳ね上がるので、ボーダーラインを決めなければなりません。

実は当店で仕入れている生豆の殆どは、現地もしくは日本の業者で、人の手や機械で選別されているものです。
ですが、そのままで満足できる事はあまり無く、ものにより2〜10%程度は取り除かなければなりません。
数値で言えば簡単ですが、実際に人の目と指で取り除くとなると大変な労力です。ハンドピックを行ってみるとわかるのですが、はじめはすいすい取り除けても後になるほどくず豆を発見するのは困難になり、時間がかかります。表はきれいでもひっくり返してみたらカビ豆だった、なんてこともあります。
ハンドピック率が進むほど手間は等比級数的に増えますので、感覚的にハンドピック率90%程度が、味の面でもコストの面でもバランスがとれているように思えます。

くず豆が100個入っていたらそのうちの90個を取り除くという意味ではなく、くず豆の影響を90%まで取り除くという意味で、当店独自の言い方です。

くず豆の中には生豆の状態では見分けやすいのに焙煎してしまうと発見が困難になるものや、逆に生豆の状態ではわかりにくくても焙煎すると焼きむらとなって見分けやすくなるものもあります。当店では焙煎後もこのような焼きむらのある豆を取り除くことにより、コストと味のバランスをとっています。

※イエメン産のモカ・マタリなどの銘柄は、焼きむらのある豆を取りすぎると味も平坦になってしまうため、焙煎後のハンドピックはほどほどにしています。

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